客室内の空間の活かし方

情報量を少なく

白い壁の情報量

お客様の目に入る情報量は可能な限り少なくしましょう。

 

情報とは脳内で処理するものです。

 

例えば、目の前に沢山の色と形、そして文字が書かれたポスターがあるとします。

 

そのポスターが目に入ると、脳はそのポスターに書かれている内容を把握しようとして活発に働き出します。

 

意識的に見ようとしていなくても、目に映る情報を脳は処理していきます

 

先に述べた美術館の話では、白色の壁の余白が広く、脳が処理する情報は設置されている美術品だけになっています。

 

余計な情報がないため美術品がより引き立つのです。

 

また、人間は情報量の少ない白色の広い壁を見ると、想像力がアップしクリエイティブな気持ちが高まっていきます。

 

人間は無意識に情報を処理してしまう

人間が認識する色、形、匂いと比較して文字は人間の脳をその情報の処理にかかりきりにするほど力が強大です。

 

街中を歩いているとき、文字が目に入るとどうしても見てしまいますし、テレビ番組のテロップも人を釘付けにするために使われています。

 

文字の量が多ければ多いほど脳がその情報を処理しているということになりますが、男性と女性で比較すると男性の方が情報量が多い場所を得意としています

 

反対に女性は情報が少ない場所を好む傾向があります。

 

このことは私が運営していた宿にあった、お客様に読んでもらうための図書コーナーで発見しました。

 

女性のスタッフに頼んで大量の本を選んで買ってきてもらったのですが、本のラインナップを見て最初は戸惑いました。

 

空の写真だけの写真集5千円……、5千円ですよ、空の写真だけで。

 

男性の私には、その本の魅力が理解できませんでしたが、宿にご宿泊される女性のお客様達は、その本を愛おしく見ていました。

 

理由を聞くと、その情報量がほとんどない写真集を見ていると、情報量が多い日常生活の疲れが取れるのだそうです。

 

宿の本質は寝ること

自分の宿を居酒屋のように活気のある場所にしたい人もいらっしゃるとは思いますが、宿の本質は寝ることです。

 

物事の本質から外れてしまうと、不自然に成長した大木のようになって存在が不安定になってしまいます。

 

客室を広く見せる

客室の延長と見てもらえる設備

自分の宿の客室は狭いからと思って諦めていませんか。

 

客室自体を広く見せる方法もありますが、お客様が寛げる場所は客室だけではありません

 

ロビーフロアや他の階に宿泊者専用の落ち着けるエリアを設ければ、客室というエリアを超えて宿のイメージを広く印象付けてくれます。

 

ゆったり座れるソファや自由に閲覧できる蔵書があればより効果的でしょう。

 

お客様は客室の広さも重視されていますが、屋外の空間とは違う、安全に自由に動ける宿内の部分の広さも同様に重視されています。

 

お客様がインターネット上で宿を選ばれるとき、この宿には自慢の宿泊者専用ラウンジがあることが素敵な写真とともに紹介されていたら、実際に宿泊されるとき、一度は立ち寄ってみようかと思われるのではないでしょうか。

 

大浴場を設けているビジネスホテルでも同様に、客室内の浴室が狭いという内容の口コミは少なくなっています。

 

大浴場も自由に利用できるので、客室の延長だとお客様に捉えていただいているのです。

 

客室自体を広く見せる

客室自体を広く見せる方法もあります。

 

お客様が客室について口コミを書かれるときに思い出す客室とは、お客様が最初に客室に入った時の映像と印象になります。

 

最初の印象をより良くするためには、お客様の目に入る場所には最初からあれこれ備品などを置かないようにしましょう。

 

客室の中にあれこれ置かないことで足元が広くなり、余白が生まれ、空間を広く認識してもらえます。

 

入り口付近に所狭しと置かれた空気清浄機、ズボンプレッサーなどがあると部屋に入った瞬間はどうしても邪魔に感じてしまいます

 

空気清浄機があって便利だったというポジティブなイメージは、部屋が狭かったというネガティブなイメージに負けてしまい評価にマイナスをつける口実になってしまいます。

 

なので通路の邪魔になるような空気清浄機やズボンプレッサーなどは、お客様が初めて客室に入るときにはクローゼットの中に閉まっておきましょう。

 

一番大切なことはお客様が最初に客室に入った時にどう感じるかなのです。

 

ポイント

 

情報量を少なく

 

□ 人間の脳は活字を追ってしまい、意識が集中してしまう

□ 活字などの情報を少なくすることで、リラックスしていただける

 

客室を広く見せる

 

□ 客室以外の場所も客室の一部としてお客様は認識してくれる

□ 客室内の通路には最初からものを置かない