お客様の記憶と口コミ評価
納得していただける価格
宿泊費が他の宿と比べてあまりに安かったり、同クラスの宿の中で最安値というのは口コミ評価にはマイナスになる可能性があります。
なぜなら、お客様の中には最安値イコール安かろう悪かろうというイメージを持たれる方がいらっしゃられるかもしれないからです。
ただし、既にブランド力がある宿の場合は別です。
ブランド力とは安全安心の象徴だからです。ブランド力がある宿が、通常より格安で客室を販売する場合、お客様は相当なお得感を得ることになります。
ただし、やり過ぎるとブランド力を失ってしまうので注意が必要ですが。
私が運営していた宿では同じ地域、同じ県内にある同クラスの宿の相場ではなく、日本全国の同クラスの宿の相場を参考にして、宿泊費を設定していました。
その理由としては、特に海外からご旅行にいらっしゃられるお客様は、何週間もかけて日本全国を周り、各地の宿にご宿泊されます。
なので、例えば前日に東京で今日は広島にご宿泊されることもあるのです。
そのとき、土地の価格が高い東京の宿泊費より広島の宿泊費の方が高ければ、「広島の相場はこうだから」と言っても、お客様には納得していただけないからです。
口コミを書くときに残っている印象
また、安さに相当な驚きがなければ口コミ評価は上がりません。まさに破格の値段でなければです。
なぜなら、お客様にお得感や安さを感じていただけるのは、インターネット上で宿を選択していただく場面までだからです。
宿を決めるときは細かく他の宿と値段を比較していますので、値段のことが記憶に残っています。ですが、実際に口コミを書くのは後日宿に宿泊したあとになります。
そこにはかなりの時間差があり、比較した他の宿の値段がどうだったかはお客様のご記憶には残ってはいないのです。
宿泊した直後なら支払った宿泊費用を覚えているかもしれませんが、何泊かの旅行を終えたあとだとどうでしょうか。
同クラスの他の宿と比較した安さというイメージよりも、純粋に施設として安いかどうかが判断の基準にされるのです。
ただし、繁忙期などで宿の選択肢がなく、仕方なく通常よりも高い宿泊費でお客様がご予約した場合、高かったというマイナスの記憶は、時間差があったとしてもお客様の記憶に深く残り、何年も消えることはありません。
□ 最安値はお客様によっては評価が下がってしまう
□ お客様は地元相場ではなく、全国の相場を評価の基準とされる
□ 少しの値段の差は記憶に残らないが、高かった記憶は何年も残ってしまう